レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

楡家の人びと 第二部 北杜夫

前院長の死後、楡脳病科病院の新院長になった
徹吉(前院長、楡基一郎の長女・龍子の夫)は
高利貸しに頭を下げて廻り資金をかき集めて
世田谷松原に新しく入院病棟を建設し
徹吉自身は青山の元の診療所で患者を診ることになります。


病院再建に奔走した徹吉ですが、
周囲の人びと(職員、家族、患者までも)から
カリスマ性のあった(大抵はハッタリと調子の良さだけだった・・)前院長と比較され
気位の高い妻との間もうまくいかず
三人の子供たち(峻一、藍子、周二)も徹吉に懐かず
徹吉は一人精神医学の研究に没頭することに
慰めを見出します。


(ちなみに峻一=斎藤茂太、周二=北杜夫ということ
なります。)


元号が昭和に変わり9年が過ぎた頃。


基一郎の三女桃子の夫の四郎は
漢口から帰国し、楡脳病院を手伝っていました。
元は外科医だった四郎は
精神科の仕事に馴染めず、
そのため院長の徹吉と軋轢がありました。
四郎はある日、酷い腹痛を起こしたかと思うと
処置が間に合わず、あっけなく他界。
桃子は28歳にして子持ちの未亡人になってしまったのでした。


桃子は親から無理やりに結婚相手に決められた四郎を
夫として愛せず、
また夫も桃子のだらしない性格に辟易していました。
よって夫婦仲は全く良くなかったのですが、
夫が亡くなって、桃子ははじめて
夫に対して同情心を覚え、
同時に楡家の他の家族に対して
自分たち夫婦を蔑ろにしたと
憎しみを募らせるようになったのでした。


基一郎の長男の欧州は三十代半ばでようやく医師免許を取得し、
結婚。欧州はまだ医師として何の実績もないのに関わらず
基一郎の子供だと言うだけで
周囲の期待を集め、
次男の病気がちの米国は学力が足らず
医大に入れず農業大学に入学していました。