猫のくるみちゃんは
週に一度、字を上手に書くための
お稽古に通っています。

お客さんやお友達に出す手紙を
少しでもきれいに書きたいと思ったからです。

ある日、教室に新しい生徒さんが
入りました。
プードルの奥さんです。

奥さんははじめ字がとても下手でしたが、
三か月くらい通うと
くるみちゃんと同じくらいの字が書けるように
なりました。

（わたしはここまで書けるようになるまで
一生懸命練習して
一年かかったわ・・）

くるみちゃんはちょっと落ち込んでしまいました。

ある日くるみちゃんが教室に行くと
いつもお隣の席に座るヤマモト夫人が
話しかけてきました。

「ほら、三か月前に入ったプードルの奥さん、
先週でやめてしまったんですって」

「・・・」

「なんでも、すぐに上手になってしまって
つまらなくなったとか・・」

「・・・」

「その点、わたしとくるみさんは
ずっと仲良くお稽古出来ていいわよね！」

最後のヤマモト夫人の言葉に
少し笑ってしまったくるみちゃんですが
たしかにそうかも・・って思いました。

「それはそうと、
今日お菓子入れとお道具入れを間違えて持ってきてしまったの。
くるみさん、一本ペンを貸してくださらない？
ほら、このお菓子おいしいのよ？
おひとついかが？」

今日もくるみちゃんとヤマモト夫人は
楽しくお稽古です。

ルッチ、もうすぐお誕生日です。