ふたごのうさぎ、
リリとルルは猫のくるみちゃんが大好きです。
それでほとんど毎日くるみちゃんの家にやってきて
洋裁のお仕事をしているくるみちゃんのそばで
絵を描いたりお昼寝したりして過ごしています。

その日も二匹はお昼前にくるみちゃんの家にやってきました。

「鍵がかかってる」

くるみちゃんはお出かけしているようです。

でも二匹はくるみちゃんが玄関のわきに置いてある
ゼラニュームの鉢の下に鍵を隠していることを
知っています。

二匹が家の中に入ると
テーブルの上には朝ごはんを食べた後の食器が
そのままになっていました。

くるみちゃんは時間がなくて
片付けが出来なったようです。

「お片付けしよう」

二匹は
マグカップとサラダボウルとパン皿を
お盆に乗せて運ぼうとしましたが
じゅうたんのふちにつまずいて
お盆ごと全部床に落としてしまいました。

それで
マグカップもボウルもお皿も
全部割れてしまいました。

「どうしよう、くるみちゃん、怒るかな」

「どうしよう、くるみちゃん、きっと怒るよ」

二匹はワンワン泣き始めました。

そこにくるみちゃんが帰ってきました。

びっくりしているくるみちゃんに
泣きながら二匹が言いました。

「ごめんなさい、くるみちゃん」

「ごめんなさい、くるみちゃん」

くるみちゃんが言いました。

「いいのよ。マグカップもボウルもお皿も
みんな古くなっていて、
そろそろ替えようと思っていたの。
だからちょうどよかったの」

「ほんとうに？」

「ほんとうよ」

「じゃあ、あたしたちいいことしたのね」

くるみちゃんは大切にしていた食器が割られてしまって
ちょっと残念でしたけど
リリとルルがお皿を洗おうとしていたことがわかって
いました。

いつもわがままなリリとルルですが
ほんとうは優しい子たちだってくるみちゃんは
知ってるのです。

すっかり泣き止んだリリとルルは言いました。

「くるみちゃん、あたしたちおなかすいた。
なにか作って！」