レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

「自動車を待つ間」Oヘンリー

夕暮れ時、公園のベンチに腰を掛けて
本を読む若い女性が一人。


見るからに育ちの良さそうな感じのその女性を
少し離れた場所から見つめる青年がいました。


女性が取り落とした本を
青年が近づいていって拾い上げ
女性に手渡しました。


それをきっかけに
二人は言葉を交わしはじめます。


女性は青年に自分は高貴な身分だと明かします。
今は庶民のようなふりをして
こうして過ごしているのだと。


「シャンパンに入れた氷の音を聞くだけで
うんざりしますの。」


「シャンパンは瓶のまま冷やして
飲むものだと思ってましたが・・」


「まぁそうなんですけど・・
変わったこともしてみるのよ。」


女性は現在二人の男性から求婚されていると
話します。


「結婚相手は下流の男性の方がいいのかもしれないわね。」


女性は青年にどんな仕事に就いているのか尋ねます。


青年は公園の向こうにあるレストランを指し示し
「あの店で会計係をしています。」


女性は自分の腕時計をのぞき込むと
「ディナーの約束があるから
そろそろ行かなくては・・
そこに車を待たせているの。」と
立ち上がりました。


青年は女性に
「車まで送っていきましょう」と言いましたが
女性は「ナンバープレートに刻印されている
自分の名前を見られたくないの。」と
さっさとその場から歩き去っていきました。


青年は女性の後をそっとつけていき、
女性が、さっき青年が「会計係をしている」と言った
レストランに入って行き、
会計係の椅子に座るのを見届けました。


それから公園に停まっている自動車に歩いて行くと
運転手にこう告げました。


「アラン、クラブまで行ってくれ。」

「水車のある教会」Oヘンリー

若いエイブラムは小さな田舎の村で
粉挽きの仕事をしていました。
仕事場の水車小屋の向かい側に自宅があり、
家族は妻と一人娘のアグライア。


幼いアグライアは自分のことをダムズと言っていました


毎日夕暮れ時になると、
アグライアは水車小屋にやって来て
父親の粉だらけになった白い手を取り、
「おとうちゃま、ダムズと一緒にお家に帰りましょう」と言い、
エイブラムはアグライアを肩車して
粉挽き歌を歌いながら
自宅に帰りました。


アグライアは4つの年に
ある日突然行方不明になり、
エイブラムと妻は村を離れます。
その二年後、妻は失意のまま世を去ります。


エイブラムは新しい土地で娘の名をつけた
「アグライア印の小麦粉」を作り、販売。
成功をおさめます。
エイブラムは貧しい人々に小麦粉を無料で配るなど
慈善事業にも余念がありませんでした。


20年の年月が流れた頃、
エイブラムは自分の仕事場だった村の水車小屋を
教会に改装し、自ら神父となります。
教会には水車をそのまま残していました。


☆☆☆


村にローズと言う若い娘が
アトランタから保養のためにやってきます。
ローズは顔色が悪く健康を害していたようですが
教会のエイブラムと知り合い、親しく過ごすうち
元気になっていきました。


ある時、ローズは村の人間から
エイブラムの悲しい過去のことを聞きます。


ローズはエイブラムの手を取って
「神父さまがいつか娘さんと再会できるように祈っています。」と。
そして冗談めかして
「もし私が神父さまの娘だったら・・」と言うのでした。
しかしローズの幼い頃の記憶に水車小屋も
エイブラムの姿もありませんでした。


それからしばらくした頃、
エイブラムは教会のベンチに座っているローズを見かけます。
ローズは意気消沈している様子でした。
エイブラムはローズにわけを尋ねます。


ローズはアトランタにいる恋人から
手紙でプロポーズされたとエイブラムに打ち明けます。


「でも私は彼の申し出を受けることができません。
私の両親は私の実の親ではないのです。
私はどこの馬の骨ともわからない人間なのです。」


ローズの育ての両親は仲が悪く、
ローズは家を出てアトランタで百貨店に勤め
一人で暮らしていたのでした。


それを聞いたエイブラムは
「彼がちゃんとした男なら
そんなことを気にするわけがない。
それは私が保証する。」と
ローズを諭しますが
ローズは首を横に振るばかりでした。


その時、教会の奥から
パイプオルガンの音が聞こえてきました。
その音色はエイブラムの脳裏に懐かしい光景を
蘇らせます。
水車小屋の仕事場、幼い娘の小さな手・・
エイブラムは我知らず粉挽き歌を口ずさんでいました。


その歌を聴いたローズの口から
こんな言葉がこぼれ落ちたのでした。


「おとうちゃま、ダムズと一緒にお家に帰りましょう!」


★★★


夕暮れの道を父と娘は
幸福に包まれながら歩いて行きます。
娘は父親に向かって
おずおずとこう尋ねます。


「お父様はお金をいくらか持ってらっしゃいますか?
アトランタに電報を打ちたいのですが
いくらかかるのか見当がつかなくて・・」


「もちろん持っているよ。
彼に電報を打つんだね。
こちらに来てもらってはどうだろうか。」


娘は父親にこう答えるのでした。


「彼には結婚を少し待ってもらうつもりです。
ようやく会えたお父様としばらくは二人だけで
過ごしたいから・・」



終わり


竹膳料理


器も竹製。


☆☆

ところで、

例の通信講座の課題を

送るために郵便局に行ったんだけど

封筒が第四種なので

25円くらいで送れました。

安く送れてびっくりした。

まだまだ世間には

私の知らないことが

沢山あるね。