レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

「春のアラカルト」Oヘンリー

三月のニューヨーク、
街はまだまだ寒い日が続いていました。
そんなある日、
タイピストのサラは一人暮らしの下宿で仕事をしながら
涙をこぼしていました。


去年の夏田舎で知り合い、
結婚を約束したウォルターからの手紙が
しばらく途絶えていたからです。


サラの仕事は下宿の隣にあるレストランの日替わりメニューを
タイプすることでした。
その見返りにレストランから一日三度の食事が届けられます。


夕方になり、レストランからサラの元に夕食が届けられました。
その中にタンポポの花が添えられたゆで卵がありました。


タンポポでウォルターが花冠を作ってくれた・・
サラはそんなことを思い出して
窓の外をぼんやり眺めていました。


その時、サラの部屋のドアをノックする音が聞こえました。
ドアを開けるとそこにはウォルターが立っていました。
驚くサラにウォルターはこう言いました。


「君から手紙が届かないから探しにきたんだ。
手紙に書かれていた住所に行ったら
引っ越したと聞いた・・」


「部屋を引っ越したことは手紙に書いたはずよ。」


「いやその手紙は届いてなかったんだ。」


「じゃあ、どうしてここがわかったの?」


「隣にあるレストランに入って
メニューを見たんだよ。
君のタイプライターはwが上に飛び出す癖があるよね。」


ウォルターの差し出したレストランのメニューには
こんなことが書かれていました。


「愛しいウォルターを添えたゆで卵」

リーコ、春の健康診断

美人さんだわ・・


★★★


リーコを病院に連れて行って
フィラリア検査、フィラリアとノミダニ予防の薬の処方、
それに春の健康診断として血液検査してもらいました。


体重を計ったら減っていました。
毎食ご飯は完食ですし、
コイケ氏が(そんなにやって大丈夫か)というくらい
オヤツもやってるので
減っているとは思いもよらず・・
毎日見てるせいか見た目も痩せたように思えないし・・


リーコは若い頃一番体重が多いときで
5キロ代後半くらいありました。
今は4、5キロです。
血液検査で何かわかるかも・・


ところで検査と薬でお会計は3万ちょっとでした。
はじめ通常の腎臓の検査だけのつもりでしたが
体重のこともあって
他の項目もついた検査にしました。
財布の持ち合わせが心配だったけど
先生がだいたいいくらになるか
計算してくださいました。
(とっても親切な病院なのです)
ぎりぎり間に合いました。
で、オケラになりました~(笑


まだ狂犬病ワクチンもあるし
ルッチの検査もあるわ・・
(たまみのことはコイケ氏任せ)

「心と手」Oヘンリー

東に向かう列車の、向かい合った四人掛けの席に
一人の若い女性が座っていました。
育ちの良さそうな愛らしい顔をした女性でした。


列車がデンバーの駅に停車すると
沢山の客が乗り込んできました。
その中に身なりの良い、ハンサムな青年と
粗末な服装の風采の上がらない感じの男の
二人連れがいました。


二人は四人掛けの席の
若い女性の前に座りました。
若い女性が、二人のうちの青年を見ると
顔を輝かせて声を上げました。


「まぁ、フェアチャイルドさん、
本当にお久しぶりですわ!」
女性はそう言うと
手袋をはめた手を
青年に差し出してきました。


青年は一瞬戸惑ったような表情を浮かべた後
「あぁ、貴方はイーストンさん・・
左手で失礼しますよ。
右手は今塞がっていますので・・」
それで女性は青年と隣の男の手が手錠で繋がれて
いるのに気が付きました。


その時隣の男が女性に話しかけてきました。
「おやおや、お嬢さんは旦那のお知り合いですかい。
今俺は旦那に刑務所に連れて行かれるところでね。
いやなに、偽札作りで6年ほどくらっちまって。」


「それではフェアチャイルドさんは
今は保安官をなさっているのですね。
立派なお仕事ですわ。」


「いや、それほどのことでも・・」
青年はそう答えます。


それから女性と青年はしばらく他愛ない会話を交わしました。


「フェアチャイルドさん、
私たちワシントンでお会いできますわね。」


「いえ、仕事がありますし、なかなかそういうわけには・・」


男が痺れを切らしたように
話に入ってきました。


「旦那、そろそろ喫煙室のある車両に行ってもらいたいんだが・・。」


青年は女性に
「長い移動中は煙草くらいしか楽しみがないので・・
では、イーストンさん、これで失礼します。」と別れの挨拶をし、
青年と男は席を立って
別の車両へ去っていきました。


★★★


近くの席で三人の会話を聞いていた
別の乗客がこんなことを話していました。


「あの男、若いのに保安官とはたいしたもんだね。」


「何だお前見てなかったのか、
若いのの右手は手錠がはめられていたぜ。
自分の利き手に手錠をかけるような
馬鹿な保安官はいないさ。」