コイケさん「迷い道」
秋晴れのある日、
俺と妻はドライブに出かけた・・。
目指す「千枚田」は
山の中の分かりにくい場所にあるらしい・・
山に入る細い橋まで来た時
妻が言った・・
「何か、嫌な予感がする・・
引き返した方ががいいんじゃない・・?」
俺はそのまま突き進んだ・・
ここまで来て後戻りはできない・・
そして俺たちは山の中で迷った・・
ガードレールもないような道・・
対向車とすれ違うのも一苦労な道を
行けども行けども・・どこにも出られない・・
妻は一言も俺を責めず
「あんなところにポツンと一軒家があるよ。
家があるなら、まだ大丈夫だよ・・」
などと言って
俺を励ましてくれた・・
何分、何十分走ったことだろう・・
やっとコンビニのある広めの道に出た・・
俺は妻に頼んだ・・「コンビニでアイス買ってきて・・」
コンビニに向かう妻の背中を眺めながら俺は思った・・
妻は俺の人生のナビゲーター・・。
それにしても、千枚田は一体どこにあったのだろう・・
(だからさぁ、橋の所で引き返せばよかったのに・・
まったく人の言う事聞かんね・・)