「食わず女房」その三
嫁は男を捕まえると、
風呂桶に入れて背中に担ぎ
走り出しました。
「このままでは山の中に連れ去られて
きっと食われてしまう」
男は風呂桶の中で
震えあがりました。
いつの間にか山姥に姿を変えた嫁は
どんどん山に向かって走って行きます。
男が風呂桶から顔を出すと
菖蒲が沢山生えている場所が
見えてきました。
「逃げるならあそこしかない」
男は意を決して
風呂桶から飛び出すと、
菖蒲の生い茂る中に一目散に駆け込み、
そのまま走り続けました。
山姥は魔よけの効果のある菖蒲の中に
入ることが出来ず、
男は逃げおおせることが出来たのでした。
☆☆☆
このお話は
私は子供の頃に読んだことがありますが、
その本ではラストがどうなっていたか
覚えていません。
最近読んだ本では
男は山姥に食べられてしまっていました。(可哀想に・・)
調べたら菖蒲の中に逃げて難を逃れたという話もあって
そちらを参考にして書きました。