「食わず女房」その二
昼時になると
嫁はいそいそと釜一杯米を炊き、
鍋に具のたっぷり入った味噌汁を作りました。
そして大きな握り飯をいくつも作り、
それから
髷を解きました。
すると嫁の頭の天辺に
大きな歯の生えたパックリ開いた赤い口が
現れたのでした。
嫁は頭の口に握り飯をポイポイと放り込み、
それから味噌汁を鍋からザバっと流し込みました。
天井裏で見ていた男はビックリ仰天、
「自分がもらった嫁は
化け物だったのだ」
男はこっそり裏口から逃げ出そうと思いましたが、
物音を立ててしまい
嫁に気づかれてしまいました。