レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

映画 心の旅路

監督 マービン・ルロイ
主演 ロナルド・コールマン
   グリア・ガーソン


あらすじ


第一次大戦が終結したその夜、
ある街の病院からひとりの男が
こっそりと抜け出してきました。


男は戦場で傷を負い、
そのせいで記憶喪失になっていました。
自分の名前も生まれた土地も
何もかも忘れてしまっていました。
男は終戦で沸き返る人々を避けるように歩き
一軒の店に入ります。


そこで男はポーラという踊り子と出会います。
世話好きなポーラは何かに怯えるような男のことを放っておけず
面倒を見ることに。
そのうち二人は惹かれ合うようになります。
男の様子からだいたいの事情を察したポーラは
男を連れて街を出ます。


リバプールに到着した二人は
親切な牧師さんの世話で結婚式を挙げ、
市の郊外に小さな家を借りて暮らし始めます。
男は「ジョン・スミス」と名乗ることにし、
ポーラは彼を「スミティ」と呼ぶようになります。
なんとか暮らしを立て
子供も生まれ二人は幸福に暮らします。


ある日、スミティは仕事でリバプール市内に行くことになります。


ところが、リバプールに到着してすぐ
スミティは交通事故にあってしまいます。


気が付いたとき、彼は自分が本当は何者であるか
思い出していました。
そのかわり戦場で怪我をしてから
事故にあうまでの記憶を失っていました。
上着のポケットには見たことのない
家の鍵がひとつ入っていました。


彼は大会社を持つ富豪の息子で
名前をチャールズ・レイニアをいいました。


すぐにチャールズは故郷に戻り
父親の跡を継ぐと
事業を大きくしていきます。


一方、帰らぬ夫を待ち続けるポーラですが
可愛い子供を病気で亡くしてしまいます。
ポーラは働きながら速記者の資格を取りました。
そして自分の夫が大実業家として新聞に載っているのを
発見します。


ポーラはチャールズが秘書を募集しているのを知り
マーガレットと名前を変えて応募、採用されます。
しかし案の定、
チャールズはポーラを見ても何ひとつ思い出しませんでした。


ポーラはいつか夫が自分を思い出してくれると信じて
チャールズのもとで働きはじめます。


かねてからチャールズに思いを寄せていた親戚の娘キティと
結婚を考え始めたチャールズ。
しかし聡明なキティは、チャールズの顔に時々浮かぶ
何かを探し求めるような表情に気が付いていました。


キティに結婚を断られ
チャールズは自分の過去と向き合う決心をします。
そして事故にあったリバプールに行ってみるのですが
やはりなにも思い出すことはできませんでした。


チャールズは周囲から推され国会議員に立候補、当選します。
議員の仕事には妻がいたほうが何かと都合がいいということで
チャールズはポーラに名前だけの妻になって欲しいと
頼みます。


ポーラは悩んだ末承諾、
有能な国会議員とその妻としてふたりは国中で
有名になっていきます。


しかし何年たっても自分を思い出さない夫に
ポーラは寂しさを募らせていきます。
そして「しばらく一人旅に出たい」とチャールズに頼みます。
チャールズはリバプール行きの列車に乗り込むポーラを
見送りました。


その時チャールズの会社の工場で
大規模なストライキが起きており、
チャールズはその街に向かいました。


無事に事態を収めると
チャールズは街中を歩きました。
すると自分でも気が付かないうちに
あるお店に自然と足が向かいます。


店に入ってチャールズは思います。
「これまで来たことがないはずなのに
私はこの街を知っている。
そしてこの店・・親切にしてくれた女性がいた・・」


チャールズはもう一度リバプールに行くことにします。



ポーラは滞在していたリバプールのホテルを
チェックアウトしようとしていました。
そして
フロントで従業員が何げなく口にした言葉に耳を止めます。


「身なりのいい紳士が色々尋ねていったんですよ、先ほど」


「・・一体どんなことをお話ししたのですか」


「この街の牧師さんのことやら、郊外の家のことやらですよ」



チャールズは小さな家の玄関前に立っていました。


庭には小川が流れ、玄関の横には
大きな桜の木が植わっています。
チャールズは玄関扉の鍵穴に肌身離さず持っていた
鍵を差し入れました。
扉は開き、懐かしい部屋が目の前に広がりました。


すべてを思い出したチャールズの耳に
「スミティ」と呼ぶポーラの声が聞こえました。


チャールズは振り返り、
庭に立っている愛する妻の元に駆け寄るのでした。


おわり。


ポーラとスミティ


ポーラとチャールズ