おこう 三
しかし、おこうが姉の家を辞した後
お祭りに戻ると
すでに源太郎の姿は見えなくなっていました。
☆☆☆
見合いの方はというと
意外なことに
相手側から是非おこうをもらいたいと言ってきたのです。
おきよは大喜びで
話を進めようとしました。
見合いでろくに話もしていない相手でしたが
姉が薦めるなら嫁に行くしかないと
おこうは考えていました。
いつまでも実家の厄介になっているわけにはいきません。
ところがしばらくして
おきよが血相を変えて
おこうのところにやって来ると
「こちらの義兄さんが
先方にとんでもないことを言って
うちは大恥をかかされた」
と言います。
おこうを嫁に欲しいなら、
50両の支度金をよこせと
相手側に要求したというのです。
当然縁談は破談となりました。
☆☆☆
おくには
見合い相手のことを
こき下ろし、
おこうには自分で相手も見つけられないとバカにします。
おこうは内心破談になってホッとしたものの、
姉夫婦のやり様が悲しく、
陰で涙を流すのでした。