「聖衣」(1)
「聖衣」(1)
ニューヨークに住むふたりの若者、
トム・エアーズとランスロット・ギリアムは
ヨーロッパ旅行の途中で
スイスの修道院に立ち寄ることにしました。
険しい山の中に建つその修道院で作られるリキュールが
たいそうな評判になっていると聞いたからです。
修道院に着いたふたりは
そこで思いがけない人物に会いました。
それはジョニー・ベルチェインバーズという男で
ニューヨークでふたりの遊び仲間だったのですが、
その一年ほど前に突然行方不明になっていたのです。
ジョニーはそこで修道士になっていました。
トムとランスロットは
バスローブのような茶色い衣を身にまとい
腰のあたりで紐で縛っただけのジョニーの姿に
信じられない気持ちになりました。
ジョニーはかつてニューヨークの上流社会で
ベストドレッサーとして通っていた男で
いつも一分の隙も無い服装をしていたのです。
規則の厳しい修道院でしたが
三人は少しの時間、話すことを許されました。
つづく