「ぼうたろう」(5)
「ぼうたろう」(5)
それからまた何年も時が過ぎ、
ぼう太郎は心の優しい若者に育ちました。
ある日ぼう太郎は
毎日寺の鐘をつきにいく父親に
わけを聞いてみました。
そしてぼう太郎は
自分を産んだ母親のことを知り、
母親に会いに沼に行こうと思いました。
ぼう太郎は沼に着くと
「ぼう太郎のおっかさん、ぼう太郎のおっかさん、
出て来ておくれ」と
何度も呼びかけました。
すると、人間の姿の母親が
ぼう太郎の前に現れました。
でも母親はぼう太郎の顔を見ることは
出来ません。
母親はぼう太郎の顔を両手でさすって
涙をぽたぽた流しました。
ぼう太郎は母親に
「おっかさんには長い間寂しい思いをさせた。
家に帰って一緒に暮らそう」
そう言って母親をおぶって、山を降りました。
それから親子三人仲良く幸せに暮らしました。
(おわり)
本の挿絵。
ぼう太郎とおかあさん。
この本ではおかあさんは竜(?)になってます。