「ぼうたろう」(4)
「ぼうたろう」(4)
子供は男の子でぼう太郎と名づけられました。
ぼう太郎はすくすく育ち、
だんなさんはぼう太郎が泣くと
母親が残していった目の玉をあたえました。
ぼう太郎は目の玉をしゃぶったりおもちゃにして
遊びました。
ですが三歳になる頃には
目の玉はすっかり小さくなって
そのうちにとうとう無くなってしまいました。
目の玉を欲しがって泣くぼう太郎に困っただんなさんは
妻がいる山の中の沼に行ってみることにしました。
だんなさんはぼう太郎を連れて
沼にやってくると
「ぼう太郎のおっかさん、ぼう太郎のおっかさん、
出て来ておくれ」と呼びかけました。
すると沼から人間の姿をした妻が現れました。
だんなさんがわけを話すと
妻は今度は自分の右の目の玉をくり抜き
だんなさんに渡しました。
そして
「わたしはこれで朝日がのぼっても
夕日が沈んでもわからなくなってしまいました。
ですから沼のほとりに鐘をつるして
毎日朝と夕方に鳴らしてください」
そういうとまた沼の中に帰って行きました。
だんなさんは沼の近くにあるお寺に
釣鐘をおさめて、毎日朝夕必ずその鐘をついて
妻に知らせました。
(つづく)
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今朝の朝顔