自転車修理の店を営むラウルは
幼い頃のある出来事のため
自転車の曲乗り名人として村中に知られていました。

しかし、ラウルは実は自転車に
乗ることが出来なかったのです。

ラウルはそのことを恥じて
父親にも秘密にしていましたが、
二十歳になった時父親に告白した途端
父親は雷に打たれて死んでしまいます。
また恋人になった女性に打ち明けると
振られてしまったのです。

ラウルは幼馴染のマドレーヌと
結婚することになりますが
彼女にも秘密を打ち明けることが
出来ませんでした。

マドレーヌの両親は自転車事故で亡くなっており
マドレーヌはラウルにこう誓わせます。
「一生自転車には乗らない」
ラウルにとっては好都合この上のない成り行きでした。

二人の子供に恵まれ
平穏に暮らすラウルの前に
街からやってきた一人の写真家が現れます。

彼はエイヴィと言い、村に滞在し
村人たちの写真を撮っていました。

ラウルとエイヴィは仲良くなりますが
やはりラウルは秘密を打ち明けることができません。

そのうちに
マドレーヌがラウルにこんなことを言い出します。
「昔の約束はもういいから、
自転車に乗っているところを
エイヴィに撮ってもらったら？」・・

困り果てたラウルはエイヴィのカメラを盗み出すのですが
そのカメラが彼の亡くなった父親の形見だと知り・・

ラウルはエイヴィに言います。
「自転車で走っているところを撮ってほしい」

とはいえ、ラウルは自転車には乗れません。
カメラを構えるエイヴィの前を
坂道の上からペダルを漕がずに
惰性で走り抜け、そのまま崖から転落・・
大けがを負います。

退院したラウルが息子を眺めているのを見ているうちに
マドレーヌは昔の出来事のあれこれを思い出し
夫の秘密に気が付きます。

「君を失いたくなかったから
本当のことを話せなかった」

「自転車なんて・・」

抱き合う二人。

ラウルは盗んだカメラをエイヴィに返し
本当のことを打ち明けます。

でも二人の友情が壊れることは
ありませんでした。

☆☆☆

原作はジャン＝ジャック・サンぺ。
数年前映画化された「わんぱく二コラ」の作者です。
ラウルの子供の頃を演じる男の子が
可愛かったです(*^-^*)