レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

「風雪の檻」藤沢周平

「処刑の日」あらすじ




筆墨問屋、大津屋の主、助右ヱ門は
囲っていた妾を殺した咎で死罪が決まっていました。


その上腹を病み、食事を受け付けなくなったので
大津屋の養女、おゆきが時々牢まで
父親に食べるものを届けにきていました。


おゆきは16歳で
大津屋の手代の新七を婿に取ることが決まっていましたが
助右ヱ門が死罪になれば
家屋敷没収、一家離散は必定。


父親を案じて牢に足を運ぶおゆきを
登は気の毒に思っていました。


助右ヱ門ははじめ妾殺しを頑として否認していましたが
取り調べを受けるうちに
金にまつわるいざこざで
妾に手をかけたことを認めたのでした。


助右ヱ門は登に言います。
「家族には私のことはもう諦めてくれと伝えて欲しい」


大津屋は以前から登の伯父の医院を頼みにしており、
登も助右ヱ門の人となりを多少は知っていました。


大店の主であれば
妾を囲うことは珍しくもなく、
助右ヱ門は温厚な人物で、人を殺めるなどということは
およそ想像もできない男でした。


助右ヱ門の処刑は日一日と迫ってきていました。


ある日、登はいとこのおちえから、
助右ヱ門の妻と手代の新七が
出会い茶屋から出てくるところを見たと聞かされます。


妾殺しを否認した助右ヱ門、
妻の不義密通・・。


登は助右ヱ門の事件の裏に何かありそうに感じ、
同心の加瀬に相談しますが、


助右ヱ門の件はすでに老中にまで上がっており
処刑の日延べの申し立ては
まず難しいとのことでした。


登は助右ヱ門を捕らえた吉次をいう岡っ引きを訪ね
事件当時の話を聞くと、


助右ヱ門は妾の家で血の付いた刃物を持って
立ち尽くしていたとのことでした。


登から助右ヱ門の妻と手代の関係を聞いて
吉次は事件の調べ直しを約束しました。



大津屋の手代、新七は子飼いではなく
雇い入れの奉公人でした。
調べを進めると、以前の奉公先で
大金を使い込んだりしていた前科がありましたが
店からの訴えは出ていませんでした。
信用第一の店から縄付きを出すことは
嫌がられていたのです。


大津屋に入った新七は帳簿を任され
店の金、七十両を持ち出していました。
それが露見しそうになり、
新七は助右ヱ門の妾を殺して逃げ、
助右ヱ門を犯人に仕立てたのでした。


新七は吉次によって捕らえられました。
助右ヱ門の妻は何も知らず
ただ新七にたぶらかされていただけでした。


同心の加瀬が新七からようやく口書き(自供書)が取れたのは
助右ヱ門の処刑の日の朝でした。
助右ヱ門はすんでのところで
命を拾ったのでした。