レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

映画 お茶漬けの味

監督 小津安二郎
酒宴 佐分利信
   小暮美千代



あらすじ


東京の一流企業の部長を務める茂吉と妻の妙子は
お見合いで結婚、子供はいません。


妙子は住み込みのお手伝いさんに家事を任せて
気ままに友人と遊び歩き
茂吉はそんな妙子に何も言わす、
させるがままにしています。


所謂いい家の出の妙子は
茂吉を内心野暮な田舎者だと思っていて
友人たちと「鈍感さん」などと呼んで
笑っていました。


ある時、妙子の姪の節子にお見合い話が持ち上がります。
見合いを嫌がる節子を
茂吉は庇います。


「無理に見合いさせたって
僕たちのような夫婦が増えるだけだ」


口には出しませんがショックを受ける妙子。


どうにもおもしろくない妙子は
ご飯に汁をかけて食べる茂吉につっかかります。


「そんな犬みたいな食べ方をなさるのね」


「君が嫌ならやめるよ。
でも僕は気安い感じが好きなんだよ。
列車なら三等が好きなんだ。
育ちのせいなんだな」


妙子は置手紙を置いて
須磨に出かけます。(注 たぶん知り合いの家)
ウルグアイに出張が決まった茂吉は妙子に電報を出します。
「用あり。帰るように。茂吉」


友人知人が空港で茂吉の出発を見送りますが
妙子の姿はありませんでした。


茂吉が旅立って数時間後
妙子は東京に帰ってきます。


さすがに友人たちも妙子を非難します。


ひとりになり、茂吉のタバコを手に取り
考え込む妙子。


夜になってお手伝いさんたちが部屋に下がってから
茂吉が家に帰ってきます。


「飛行機の故障で引き返してきた。」


「あんな電報ではどんな用かわからなかったわ」


「そうか、それは悪かった」



ふたりは台所に入ってふたりでお茶漬けの用意をします。



お茶漬けを食べはじめて
妙子は涙ながらに茂吉に言います。
「あなた、ごめんなさい。あなたの言っていたことが
やっとわかったの。
気安い感じがいいというあなたの言葉が」


「そうか、夫婦はお茶漬けの味がいいんだよ。
結婚して今が一番うれしいよ。」


茂吉がウルグアイに旅立って
友人や姪の節子に妙子は言います。
「これまで嫌だって思ってたことが
みんなよく見えてきたの。
ネクタイや服の趣味なんてどうでもいいの。
男は頼りがいがあるのが一番ね」


節子は茂吉の知り合いのノンちゃんと付き合うようになってました。
ノンちゃんは節子に言います。
「そうさ、男は頼りがいがあるのが一番さ」


「あなたには頼りがいがあるの?」


「ああ、そうさ、
結局僕らはそういうことになるのさ」


おわり


スチール写真