レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

昔話

昔、親孝行の若者が

病気がちの母親と暮らしていました。


若者の家は貧乏で

ある年の暮れ

若者は金持ちのおじさんに

少しばかりお金をかりようとしました。


しかしおじさんはけちな性分で

「おまえたちに金を貸したら

返してもらえるかわからない」と

若者をすげなく追い返します。


「これでは

おっかさんの薬も買えないし、

餅を食べさせててやることもできない」


若者がトボトボ道を歩いていると

道ばたに小さなお地蔵さんがあるのに気がつきました。


若者はお地蔵さんに手を合わせました。


「お地蔵さん、どうしたらおっかさんの薬と正月の餅が買えますか」


すると若者の目の前に歯がひとつしかない下駄が一足落ちてきました。


お地蔵さんが言いました。

「その下駄を履いて

一回転ぶ度に小判が一枚出てくる。

それで薬と餅を買いなさい。

ただし転ぶ度に下駄も自分の身体も

小さくなるから

気をつけなさい。」


「お地蔵さん、ありがとうございます」


若者は三回転んで小判を三枚出し、

一枚をお地蔵さんにお供えして

あとの二枚で母親の薬と

正月のご馳走を買いました。


つづく