昔話 続き
そんなある日、
若者がいつものように山で草を刈っていると
一輪の月見草が目にとまりました。
(まるでうちの嫁のような
綺麗な花だ…)
若者は花を嫁に見せたいと思い
月見草を摘んで山を降りました。
ところが家の中に入ると
嫁はぐったりとして倒れていたのです。
嫁は言いました。
「実は私は月見草の精なのです。
山で毎日あなたの歌を聴いていました。
優しそうなあなたのお嫁さんになりたくてここに来ました。
あなたに摘まれて本望です」
嫁は若者の腕の中でこと切れ、
気がつくと若者の手には
萎れた月見草が一輪残されているだけでした。
おわり