小さな手紙 〜レモンタルトの夢〜

イラスト、昔ばなし、愛犬の写真など

心中未遂 平岩弓枝

初老の与平とおつねの夫婦は

弁当屋を営んでいましたが

食中毒を出して

店を立て直せずにいました。


心中を考えていた二人は

大川に身を投げようとしていた

若い娘を助けます。


娘の名前はあいといい

二人は何も聞かず

その晩家に泊めてやりました。


翌朝、元気を取り戻したあいは

店にある材料で弁当を作り

荷車に積んで売りに行きました。


夕方帰ってきて

売れた弁当の代金を与平に渡すと

「これから毎日弁当を作って

売りに行きたい」と

頼みます。


それで三人で弁当を作り

売り歩く毎日が始まったのです。


しばらくすると

以前にも増して丁寧に作られた弁当は

評判を呼び

離れていたお客もだんだん店に戻って来ました。


子供のない与平たちは

明るいあいをまるで自分の娘のように

思うようになります。


そんなある日、

あいが毎晩夢にうなされているに

気づきます。


事情を聞いてみると

あいは涙ながらに

「義理の兄を誤って殺してしまって

田舎から逃げてきた」

と打ち明けたのです。