コイケさん
日間賀島の宿で出た刺身の皿に
頭と殻付きの海老が二匹乗っていた…
俺は妻に言った。
「剥いてくれ…」
妻は箸で海老を突いてみた…
「ヒ…!!!」
海老はまだ生きていた…
「あなた、剥いて…」
「………」
「………」
妻は眉を顰め、
俺と海老を交互に見る…
「………」
「………」
そこに宿のお姉さんが
茶碗蒸しを持って入ってきた。
俺はお姉さんに言った。
「…海老が、生きとるもんで…」
「あ、剥きにくいですよね〜
厨房で剥いてきますね♪」
やがてお姉さんが
胴体の殻を剥いた海老を持ってきてくれた…
また妻が突いてみる…
「!!!」
なんとまだ海老は生きていたのだ…
俺は妻を促した。
「早く食え…」
「無理…」
妻は涙目になっている…
「あなた、食べなさいよ…
お姉さんに変に思われる…」
「………」
それから俺と妻は
その場に海老がいないかのように
食事を続けた…
☆☆☆
結局私がハサミで海老の頭を切って、
トドメを刺しました…うう…
コイケの意気地なし…