コイケさん「旅の思い出、白子と私」
冬のある日、俺は妻と共に
蛸の島、日間賀島に渡った・・
夜、宿での夕食の時のこと・・
宿のお姉さんが部屋に入ってくると
こう切り出した・・
「今日、いい白子が入ってて、
お客様にお勧めしてるんですが・・
いかがでしょうか?」
「・・・」
「・・・」
妻はタコの脚で口でモグモグさせ
何言わない・・
仕方なく、俺は答えた・・
「えーと・・いくらですか?」
「あ、一皿四切れで3000円になります。」
「・・・」
「・・・」
妻は相変わらずあらぬ方向を見ながら
口を動かしている・・
俺はにこやかなお姉さんの微笑みに
無言のプレッシャーを感じた・・
「あ、じゃあ・・お願いします・・」
俺は清水の舞台から飛び降りたのだ・・
「ありがとうございます♪
今お持ちしますね♪」
お姉さんが出て行くと
妻がようやく口を開いた・・
「お金、あるの・・?」
「ない・・
いざとなったら皿洗い・・」
「え、嫌だよ・・あなた責任もってお皿洗って・・
私は帰るね・・」
やがてお姉さんが運んでくれた白子は
白く大きく、輝いていた・・
四切れのうち俺は一切れ、妻が三切れ食べた・・
妻は白子を食べながら、言った・・
「3000円・・焼き肉食べに行けたのに・・」
妻の言葉は俺にとどめを刺し
俺は奈落に突き落とされた気がした・・。
☆☆☆
清水の舞台から降りたり、
奈落に落ちたり、忙しかったね・・
白子代は愛知の旅行クーポンで無事支払えました。
良かったね♪