昔、あるところに働き者で心優しい若者が
一人で暮らしていました。

ある日、若者は山で、罠にかかった狐を見つけて
助けてやりました。

その晩、若者の家の戸を叩く者がいました。
出て見ると旅姿の若い娘で
「道に迷ってしまったので、一晩泊めていただきたい・・」
若者は娘を泊めてやりました。

しかし、娘はそのまま若者の家に居ついてしまい
若者が畑に出ている間家事をするようになりました。

「私を嫁にしてください」
若者と娘は夫婦になりました。

ふたりの間には可愛い子供も生まれ
しばらくは幸せに暮らしましたが、
物心ついた子供が
母親の着物の裾から狐の尻尾が出ているのを
見つけてしまいました。

「本当の姿を知られてしまっては
もうここにはいられません」

若者は妻を引き止めましたが
妻は出て行ってしまいました。

つづく