レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

「女のそろばん」平岩弓枝

小野田コンツェルンの会長の孫息子、小野田浩一は
周囲に勧められるまま銀行頭取の娘、洋子と結婚。


結婚して、しばらく経ったころ
洋子の父親が旅行先のシンガポールで脳梗塞で倒れ、
浩一は義父の容態を確かめるために
一人シンガポールに行くことに。


飛行機の中で浩一は自分と同じ苗字を持つ小野田早苗という
スチュワーデスと知り合います。
早苗に激しく惹かれる浩一。
しかし早苗には出生の秘密がありましたs。


早苗は実は浩一の祖父、小野田和正の隠し子で
(戸籍上は小野田家の遠い親戚の養女になっていた)
自分たちが「叔母と甥」という関係であることを
知らずに愛し合ってしまった浩一と早苗は
真実を知って
心中してしまいます。


☆☆☆


祖母の幸枝は
浩一を家族の誰よりも可愛がり、
また、浩一も祖母を慕っていました。


浩一の死後、
幸枝は浩一の日記を読みシンガポールへと旅立ちます。


幸枝は同行した長男の元嫁、綾子に打ち明けます。
「自分は帰国したら夫に離婚を切り出すつもりだ。
家政婦をして一人で暮らしていく。」


長年夫の裏切りに耐え、
小野田コンツェルンの会長夫人でありながら
お金も時間も自由にできなかった結婚生活を
清算するのだと・・。


夫が亡くなるまで待てば
莫大な財産が手に入るはず・・
綾子はそう思うのですが・・


そこに日本から幸枝の夫、和正の訃報を伝える電話が
かかってきます。
和正は若い愛人と一緒にいて心臓発作で急死したのでした。


幸枝は電話相手に毅然として伝えます。
「私が帰国するまで、何も決めないように。
小野田和正の妻は私です。」と。


綾子は目の前で、
運命が巨大なそろばんの玉を弾くのを見たのでした。