「終わった人」内館牧子
時折盛岡に帰ってNPOの手伝いをすることに
安らぎを見出す壮介ですが、
ある時不用意な一言を発して
千草を激怒させます。
もはや夫婦仲の修復は不可能と感じた二人は
離婚ではなく別居と言う形を選び、
壮介は盛岡に行き、
千草は東京で店を続けることになりました。
盛岡に帰るという日
「あなたの実家に挨拶する」と
千草が壮介を追ってきます。
盛岡に着いた二人は
北上川にかかる橋を渡りながら
こんな会話を交わします。
「あなたって鮭みたいね。故郷回帰」
「鮭は回帰してすぐ死ぬけど、
俺はまだ終わらないよ」
「懲りない人ね」
二人は顔を見合わせて笑うのでした。
(フリーの画像をお借りしてます)