レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

「この世にたやすい仕事はない」津村記久子

次に「私」が紹介されたのは
大きな森林公園の中にある小屋で
簡単な事務仕事と周囲の地図を描く仕事でした。


仕事に慣れた頃、
「私」はある事に気が付きます。


小屋に持ち込んだ私物が消えていたり、
ものの位置が変わっていたりするのです。


自分がいない時、誰かが小屋に忍び込んでいるらしい・・。


そういえば
小屋の周囲にあるパンノキや栗などの木の実が
食べつくされていたり、
行先表示の向きが変わっていたり・・。


公園内に残された遺留品から、
近くの老人保健施設で働いていた
菅井という30代の男性が住み着いているらしいということが
わかります。



ある日、「私」は小屋に忍び込んでいる男性を
発見します。


男性は仕事に疲れ、
職場から失踪し、何か月も公園の中で暮らしていたと
言います。


「私」は自分と同じくらいの年齢のその男性に
話しかけます。
「私も大学を出てから10年以上、
菅井さんと同じ仕事をしていたんですよ」



以前アルバイトで勤めた会社で
同僚だった女性が、
「私」にこんな話を持ちかけます。


「社会福祉士の資格を持ってますよね。
母の勤める病院で人員に空きがでるので
応募してみませんか?」


「私」はソーシャルワーカーの仕事に
戻る時期が来たのかもと考えます。


いくつかの仕事を経験して
「私」はこんな風に思うようになっていました。


「どんな仕事をしたとしても
何が起きるか、
どんな穴に陥るかわからないのだ。
ただ祈り、全力を尽くすだけ。
次の仕事はうまくいきますように。」