レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

愛憎の檻 藤沢周平

「白い骨」あらすじ


辰平という囚人は
若い頃からでたらめな生き方をして
牢を出たり入ったりしてきた男でした。


今度もケチな盗みで牢に入っており、
身体の調子が悪いと登に診てもらっていました。


辰平は自分はずっと独り者だと言っていましたが
登に「十年以上前別れた女房と子供がいる」と
打ち明けます。


ご赦免の日も近づき、登は年老いた辰平が
牢を出た後のことが気がかりでした。


そこで言い渋る辰平から
やっとのことで聞き出した昔の住まいを
訪ねてみることにしました。


そこにはまだ辰平の女房のおむらが一人で暮らしていました。
一人娘は嫁に行ったと言います。
登が辰平の現状を話すと「いい年をして・・」と
涙を流すのでした。


牢を出た辰平はおむらと一緒に暮らすことになります。
それで登も肩の荷が下りたような心持でした。


ところがほどなくして
辰平が水死体となって発見されたことが
わかります。
酒に酔った上川にはまっての事故と処理されましたが、
何か裏がありそうでした。


辰平は牢を出る前、同牢の富蔵という悪から
外に出た際、ある男への伝言を引き受けていました。
富蔵という男は昔押し込み強盗をしたという噂があり、
危ない頼みと分かっていながら
辰平が引き受けたのは
五両という駄賃のせいでした。
別れた女房のところに帰るのに土産が欲しかったのです。
伝言を伝えた辰平は駄賃どころか
口封じに殺されてしまったのでした。


登は富蔵の仲間たちを探し出し
辰平殺しを白状させ
得意の柔術で叩き伏せたあと
自身番に突き出しました。


登がおむらを訪ねて行くと
おむらは旅支度をして家から出てきたところでした。
辰平のお骨を生まれ故郷の寺に納めに行くと言います。
おむらは含み笑いをしながら言いました。
「全く勝手な人でしたよ。
十七年も家を出ていて、
死ぬ間際にひょっこり戻ってくるなんて・・」


登には白い骨になった辰平が
おむらの胸にぬくぬくと抱かれているように
見えたのでした。


☆☆☆


コイケさんのご飯が終わるのを待つルッチ。
このあとミルクをもらえます。