レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

愛憎の檻 藤沢周平

「秋風の女」あらずじ

登はある日、牢名主のおよねから

妙なことを聞きます。
新入りの女囚のおきぬが牢に勤める下男の佐七を
たぶらかして、貢がせていると。
おきぬは27.8、佐七は二十歳前後、
年上の女にいいように騙されているのだろう・・。


登が佐七を問いただすと
佐七は「自分たちはもう夫婦になる約束もしている。
おきぬは可哀想な生い立ちの女なんだ・・」と
言い張ります。


おきぬは水茶屋勤めのちょっとあか抜けた感じの女でした。
呉服屋の店先で、
別の客の風呂敷包みを置き引きしたということで
牢に入ってきたのでした。


実はおきぬが置き引きした風呂敷の荷物の中には
一通の奉書紙が入っていたのです。
それは置き引きされた薬種屋が役所に差し出す賄賂の
証拠となるものでした。


おきぬが捕まった時、
盗んだ風呂敷包みは薬種屋に返されましたが、
荷物で無くなっているものはないと
薬種屋はお上に証言していました。


おきぬは佐七を使って
自分の家から隠してあるその奉書紙を持ち出させて
別の仲間に渡し
奉書紙をたてに薬種屋を脅すつもりだったのです。


佐七が「自分は牢に勤めていて、その用で来た」と
家主に言えば、
佐七は簡単に家に入ることができます。


何も知らずおきぬの計画通り動いた佐七は
おきぬの仲間に危うく殺されそうになりますが、
すんでのところで登に救われます。
奉書紙は登によって薬種屋に返されました。
ことの真相がお上に知れれば
佐七も罪に問われかねないからでした。


おきぬが牢を出る日、
おきぬは登に言います。


「今度のことが終わったら
仲間とは手を切るつもりだったんだよ。
わたしは佐七が好きだった・・
別の夢も見たかったんだよ・・」