レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

春秋の檻

「返り花」


牢に入ってる小沼庄五郎という勘定方の役人が
妻女が差し入れた餅菓子を食べた後ひどく苦しみはじめました。
命はとりとめたものの、
調べた結果、餅菓子に毒が入っていたことがわかります。


武家の妻女が牢に入っている夫を殺そうとした・・
このこと本当なら、大きな問題となり、
小沼の家はお取り潰しになるかもしれない・・


登はひとまず上には報告せず、
馴染みの岡っ引きらと
内密に調べにかかります。


小沼は15歳のひとり娘と
妻亡き後、後妻にもらった若い妻女、登和と三人暮らし。
小沼自身は悪いことのできるような男ではなく、
夫婦仲もよいという評判でした。


登和が夫に差し入れした餅菓子は
実は小沼の上役、松阪から
差し入れにと贈られたものでした。


毒入りの餅菓子で夫が死にかかったことを知った登和は
昔馴染みのあった井坂という男を頼ります。


井坂は松阪が仕事上の不正を小沼にかぶせた上、
殺そうとしていると読み、
松阪を強請りにかかります。


しかし井坂は反対に松阪に斬られ絶命。
松阪は一部始終を見ていた登たちによって
司直に引き渡されました。



登は小沼の家を訪ねると登和に話します。


「小沼様は疑いが晴れて、
そのうちに家に戻られるでしょう」


登和の顔が明るく喜びに輝いたあと
登が井坂が死んだことを告げると
登和の顔はみるみる青ざめ
身体がふらつくのがわかりました。


(悲しんでいる・・
井坂のような悪党でも、
ひとりでも悲しむものがあっていい)


しかし登は女心の不可解さを思うのでした。
それはまるで狂い咲きの梅の花のようであると・・。