藤沢周平の「春秋の檻」を読んでます。

第一話「雨上がり」あらすじ

叔父の家に居候しながら
監獄医を勤める立花登は
ある日島流しが決まっている囚人、勝蔵から
こんなことを頼まれます。

「仲間の伊四郎という男から十両受け取って
裏店に住む、おみちという女に渡してほしい・・」

勝蔵はおみちと所帯を持つつもりでいたのでした。

すったもんだの上、伊四郎から十両を受け取り
おみちを訪ねた登は驚きます。

おみちは何度か伊四郎の家で顔を合わせていた
伊四郎の女だったのです。

おみちは言います。
「勝ちゃんとは本気で所帯を持つつもりだった。
私たち運がなかったんだ。
私と伊四郎のことは勝ちゃんには内緒にしておいて・・」

勝蔵の乗る囚人船が出る朝、
登は見送りに行きます。
船が小さくなった後、帰ろうとした登は
橋の上で海を見つめる若い女を見かけます。
遠目では誰かわかりかねるその姿が
登にはおみちのような気がしたのでした。