葬られた秘密 小泉八雲
ある家に女性の幽霊が出るようになり
家の者は困り果てていました。
幽霊はいつも箪笥のあたりに現れ
箪笥の中に何か気がかりなものがあるのかと
思われましたが
何も見つかりません。
そこで助けに呼ばれた僧侶が
丁寧に探すと箪笥の細工の中から
一通の手紙が出てきました。
僧侶はその手紙を燃やし
それ以降幽霊は出なくなりました。
それは
幽霊が生前京都で奉公に上がっていたころに
受け取った恋文であったという。
この秘密はただ一人手紙に目を通した僧侶しか知らず
僧侶が身まかると、その秘密も葬られてしまいました。