小さなお話
ある日、なずなちゃんとお母さんは
バスに乗っていました。
ひとりのお姉さんが
近くに立っていた女の人に
「よかったらどうぞ…」
と席を譲ろうとしました。
女の人はなずなちゃんのおばあちゃんより
少し上くらいの年に見えました。
「大丈夫です」
女の人は断って横を向きました。
お姉さんは次のバス停で
降りていきました。
あとでなずなちゃんは
お母さんに聞きました。
「どうしてあのおばちゃん
座らなかったの?」
「どうしてかな…
座りたくない時もあるのよ…」
お母さんは別のことを考えていましたが、
まだなずなちゃんにはわからないかなと思いました。