小さなお話
少女は幼馴染の少年から
小さな野の花の花束をもらいました。
少女は少年が好きでした。
病気がちだった少女はその晩
夢に出てきた天使にこんなことを言われました。
「もしあなたが一番大切にしているものを
わたしにくれたら
あなたに長生きできる健康な体をあげましょう」
少女は迷った末、少年からもらった花束を
天使に差し出しました。
翌朝目覚めると少年からもらった花は
枯れていました。
そして少年が急に亡くなったことを
知らされたのです。
少女は大人になり親の決めた相手と結婚しました。
夫になった人は優しい男性で
彼女は子供をもうけ幸せに暮らしました。
やがて年老いて夫に先立たれ
彼女は子供や孫たちに囲まれて
息を引き取りました。
その時、
孫娘が彼女の手に何か握られているのに
気が付きました。
それは遠い昔、幼馴染の少年がくれた
花束を結わえてあったリボンでした。