小役人の妻のマチルダは
パーティにつけていくアクセサリーを
持っていませんでした。

それで知り合いの夫人から
ダイヤの首飾りを借りることにしました。

若く美しいマチルダにその首飾りはよく似合い
マチルダは夢のような時間を過ごしました。

ところが帰宅して
マチルダは首飾りをなくしたことに気が付いたのです。

夫と一緒に宝石商をまわり
同じ首飾りを見つけると
多額の借金をして買い求め
夫人に返しました。
しかし借りた首飾りをなくしたことは
夫人には話しませんでした。

爪に火をともすような
切り詰めた生活を続けて
１０年もかかって借金を全部返し終えた頃
美しかったマチルダの外見はすっかり変わっていました。

ある日街でマチルダは
昔首飾りを借りた夫人を見かけ
思い切って声をかけました。
そして首飾りのことを話したのです。

夫人は驚いた様子でこう言いました。

「まぁ、あの首飾りは模造品で
ほんの安物だったのですよ！
本物を買って返してもらう必要など
なかったのに・・」

（モーパッサン「首飾り」より）

このお話は有名ですね。
子供の頃読みました。
学校の教材にもなっているそうです。