さるまさむね その五
さるまさむね その五
するとしばらく経って
峠の上からさっきのサルが
こちらに向かってくるのが見えました。
片手にご状箱を持ち、
もう片方の手に何か長いものを抱えて
ふたりに向かって走ってきます。
「おお、サルが戻って来たぞ」
「一体、どうしたというのだろう」
飛脚たちがそう言っているうちに
サルはふたりの前まで来ると
ご状箱と長い包みを置きました。
「やれやれ、ご状箱が戻って助かった」
「本当に良かったよ」
「この長い包みは何かな」
ふたりが長い包みを手に取ると
サルはぴょこんとおじぎをして
さっさとまた峠の上の方に向かって
走って行ってしまいました。
☆★☆
お礼を持って来たのね。
本の挿絵
一寸法師
猿蟹合戦