イラスト 昔話(腰折れすずめ)
秋がいっぱい。
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「腰折れすずめ」
昔あるところに心のやさしいおばあさんが
住んでおりました。
ある日おばあさんの家の庭で
一羽のすずめが飛べずに羽根をばたつかせていました。
見るとすずめは腰が折れていて
それで飛べなくなっていたのでした。
おばあさんはすずめを可哀そうに思い、
カゴに入れると毎日米と水をやり
世話をしました。
しばらくするとすずめは元気になり、
おばあさんはカゴからすずめを出して
空に放してやりました。
すずめがいなくなってからも
おばあさんはすずめのことを案じておりました。
それからひと月ほどたったある日、
庭先ですずめの鳴く声が聞こえてきました。
おばあさんが庭に出てみると、
おばあさんが助けてやったすずめが
庭の木にとまっており、
おばあさんが手を差し出すと
手のひらに移って来ました。
そして咥えていた小さなタネをひとつ
おばあさんの手のひらに乗せると
またすずめはどこかに帰って行きました。(つづく)