レモンタルトの夢

水彩画と色鉛筆イラストのブログです。

イラスト 日本昔話


「畑のおじさんに野菜をもらったから
お礼にお菓子を作っているの」


「おじさんはとっても大きいから
たくさん作らないといけないのよ」


おじさん、きっと喜んでくれるね!


☆★☆


「飯食わぬ女房」(長いです)


昔ある村にとてもケチな男が住んでいました。
男はつねづね「どこかに飯を食わぬ女房はいないものか」と
話しておりました。


ある嵐の夜、男の家の戸をたたくものがおりました。
開けてみると姿の良い若い女が立っており
「嵐で道に迷ってしまった。
一晩泊めてはもらえないか。」と言います。
そして「私は飯を食わぬので、食事の心配にはおよびません」と。
それならと男は女を家に入れ、
女はそのまま男の家に居つき、
男の女房となりました。


女は骨身を惜しまずよく働き、男は満足でした。
なによりも飯を食わないところが気に入りました。
それで夫婦仲良く暮らしていましたが、
そのうちに男は妙なことに気がつきました。
家の中の食べ物がなぜかどんどん減っているのです。


不審に思い男は仕事にでかけるふりをして
天井裏で女の様子を窺いました。


昼時になると女は
米櫃から米を取り出し、大量の飯を炊き、
それで大きな握り飯を何個も作りました。
魚も焼き、沢山のおかずをこしらえました。


そして女が結わえた髪をほどくと、
頭の後ろに大きな歯の生えた大きな口があらわれ、
女はその口に握り飯とおかずを放り込みました。
そしてすっかり平らげてしまったのです。


その様子を見ていた男はビックリ仰天、
そっと下に降り、仕事から帰ったふりをして
「用事があるのでまた出かける」と女に告げ、
戸を閉めると一目散に駆け出しました。


男の様子がおかしいのに気がついた女は
男の後を追い、走っているうちに
美しい女の姿はいつしか山姥に変わっていました。


男は死に物狂いで走りましたが
山姥はどんどん近付いてきます。
男は河原まで来て菖蒲と蓬の茂みにもぐりこんで
姿を隠しました。


山姥もその茂みに飛び込み、走るうちに
先のとがった菖蒲の葉と蓬の茎が
突き刺さり死んでしまいました。


男は「もう飯を食わぬ女房はこりごりだ。
今度は普通の女房をもらおう。」と思ったのでした。


山姥が死んだ日は五月五日のことで
それ以来その日は菖蒲と蓬を
お風呂に入れるようになったのだそうです。