レモンタルトの夢

イラスト、写真、お話しなどを載せています。時々根尾くん♪

東北の民話 つづき

蛙息子はある村で
そこの住む長者さんに美しい一人娘がいることを
聞きつけました。


蛙息子はその長者さんの家に行くと
一晩の泊まらせて欲しいと頼みました


夜皆が寝静まった頃、
蛙息子は長者さんの娘の部屋に忍び込み
口元に蕎麦の粉を塗り付け
枕元に蕎麦の袋を置いておきました。


翌朝早く、蛙息子は「大事な蕎麦の粉が無くなった。
この家の誰かに食べられたに違いない」
と長者さんに訴えました。


長者さんがまだ寝ている家のものの部屋をまわると
娘の口に蕎麦の粉がついているのを見つけました。
枕元には蕎麦の袋もあります。


長者さんは「うちに泥棒を置いておくわけにはいかない」と
娘を家から追い出そうとしました。
すると蛙息子は「それなら私が嫁にもらってあげましょう。」と
申し出、娘は蛙息子の嫁になることを承諾しました。



蛙息子が娘を連れて帰ると
両親は「まぁなんと美しい嫁だろう」と大喜びです。


祝言の朝、蛙息子は娘に火吹き竹を渡してこう言いました。


「わたしの嫁になりたくなければ
これで思い切り叩いて逃げればいい。」


娘は泣きながら言いました。
「いいえ、あなたは家から追い出された私を助けてくださいました。
それに道中であなたの御心の優しさもわかりました。
わたしはあなたの嫁になります。」


娘の涙が蛙息子の身体にかかると
蛙息子は見目麗しい若者に姿が変わりました。


ふたりは祝言をあげ、
両親と共に末永く幸せに暮らしました。