おこう 五
しかし源太郎はおこうに
「一緒になることは出来ない」と
告げました。
「一人前の下駄職人になって
店を持ったらおこうちゃんを嫁にもらうのが
俺の夢だった」
源太郎は江戸に出てきて
親方について下駄作りの修行を
していました。
「俺は仕事が遅くて
作るものも丈夫すぎると
言われた」
親方が言うには
見た目が良くて軽いものを
早くたくさん作らないと
話にならない。
下駄は所詮消耗品だと…
暇を出された源太郎は
灯籠売りでなんとか食い繫いでいました。
そんな自分がおこうを嫁にもらうことなど出来ないと。
源太郎は自分自身を
不甲斐なく思っていました。
源太郎の言うことに
おこうは何も言えず
源太郎に送られて
家に戻ったのでした。