かみなり ニ
以来、来助は二人の使用人とひっそり
暮らしていましたが
ある日、
庭に1歳になるかならずかの
女の赤ん坊が捨てられているのを
使用人の婆やが見つけます。
「旦那さま、
いくら洗ってやっても肌が白くなりません」
赤ん坊は縮れた髪と浅黒い肌で
一目で異国人と日本人との間に生まれた子供と分かりました。
来助は奉行所で
長男の元許嫁だった梢が
海に身を投げて自害したことを知らされます。
「あの時、二人を許していたら…」
「この子はもしかして
あの時の子供かもしれない」
来助ははじめて梢を不憫に思い、
捨てられていた子供を
手元で育てると
奉行所に届けを出したのでした。
つづく