小さな手紙 〜レモンタルトの夢〜

イラスト、昔ばなし、愛犬の写真など

伊勢参りの娘(昔話)

昔ある村の若者がお伊勢参りの旅に出ました。


無事にお伊勢さんに着いて
お参りをすませた若者は
その夜の宿で
ひとりの若い娘に出会います。


明日お伊勢さんをお参りするという娘は
名前を「おりゅう」と名のり、
聞けば若者の住む村の隣村からやって来たと
言います。


ふたりは意気投合し夜遅くまで
ふるさとの話に花を咲かせました。


そして翌朝互いの旅の無事を祈りつつ
別れました。


村に帰った若者は
しばらくして隣村に出向き、
知り合いに「おりゅう」という娘の家を
聞きまわりました。


しかし誰に聞いても「そんな娘は知らない」と
言います。


狐につままれたような思いで
若者は自分の村に帰りました。


それから2・3日経って
若者の家を隣村の知り合いが
尋ねてきました。
そして「ちょっと見せたいものがある」と
言います。


知り合いは若者を村境にある丘の上に
連れて行きました。
そこには一本の柳の木が生えていて
美しい緑の枝を
風にそよがせていました。
そしてその枝のひとつには真新しいお伊勢さんの札が
かかっていたのです。


娘の名前の「おりゅう」とは「お柳」のことだったのかと
若者は思いました。


おわり



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いつも楽天的。