彦一ばなし(朝顔)その二
殿さまはすぐに言葉をついで
こう申されました。
「よし、よし。しからば明日ご先祖の墓参りをいたすから
その帰り道に立ち寄ることとしよう」
彦一はハッとして尋ねました。
「お墓参りのお帰りと申しますと、
それはなん時頃のことでございましょうか」
「そうじゃの、丁度午の刻頃であろうか」
「え、午の刻に」
彦一は、これは困ったことになったと思いました。
それもそのはず、午の刻とは今の時間で
丁度昼の十二時にあたります。
朝顔を昼の十二時に見せろというのは
何としても無茶な話です。
彦一が困ったのも無理はありません。
その慌てぶりを見た殿さまは
「はっはっ、どうじゃ、彦一、まいったであろう」
「いいえ、お殿様、
午の刻でいっこうにさしつかえございません。
ちゃんと咲いたばかりの朝顔をご覧にいれます。
是非是非お立ち寄りください」
彦一は持ち前の負けず嫌いでこう答えました。
朝早くに咲く朝顔を昼までもたせるということは
さすがの彦一でも出来るわざではありません。
「あぁ、困ったことになったぞ。
それも人もあろうにお殿様と約束してしまったとは」
彦一は心の中でつぶやきながら
お城を下がりました。
***
「かつおサブレ」
「鳩サブレ」
鳩・・じゃない「鴨サブレ」
「おかげ犬サブレ」