小さな手紙 〜レモンタルトの夢〜

イラスト、昔ばなし、愛犬の写真など

彦一ばなし(笑わぬ娘)その三

彦一はきりっと口を引き結んで
娘の顔をじっとにらみました。


娘も同じように
彦一の顔をにらみました。


そうして時間がどんどん過ぎて行きました。


そのうちに娘は早く彦一を負かしてしまいたく
なりました。


そこで口をゆがめたり、
ほっぺたを膨らませたりと
おかしな顔をはじめたのです。


娘がひょっとこの顔の真似をした時に
彦一はとうとう
「あっはっはっ、はっはっはっ」と
笑いだしました。


腹をかかえて涙をこぼしながら
畳の上を転げまわって笑う彦一を見て
娘も思わずつられて
「ほっほっほっ、はっはっはっ」と
笑いはじめました。


娘はにらめっこに勝ったことと
彦一を笑わせたことを
嬉しく思いました。


彦一も、にらめっこには負けたけれど
娘が笑ったことを
嬉しく思いました。


部屋の外にいた家の人たちも笑いだし、
「かぎや」は賑やかな笑いに包まれました。


彦一は娘を笑わせたお礼に
沢山お礼をもらって帰り


以前よりもずっとほがらかになった娘は
良縁を得て幸せになりました。


おしまい



***


洋菓・喫茶「ボンボン」のケーキ。