彦一ばなし(笑わぬ娘)その二
「かぎや」から「娘を笑わせてほしい」と
頼まれた彦一がやって来ました。
娘の部屋に通されると
彦一は娘に
「今日はお嬢さんとにらめっこをしに来ました」
「私はどんなおもしろいものを見ても
笑う事が出来ません。
帰ってください」
娘は悲しげに言いました。
彦一は
「いいえ、私はお嬢さんに笑わせることが出来ますよ。
さぁ、にらめっこをしましょう」
娘は彦一とにらめっこをすることを
承知しました。
「さぁ、えんまさんのにらめっこ」
「だるまさん、だるまさん、にらめっこ」
彦一と娘はお互いに掛け声をかけて
にらめっこをはじめました。
「かぎや」の旦那さんと奥さん、
使用人の皆は部屋の外でふたりの様子を
うかがっていました。
つづく
***
名古屋「朝日屋」のフルーツサンド