彦一ばなし(笑わぬ娘)その一
八代の国一番の長者「かぎや」のひとり娘、おふさは
ある時から奇妙な病気にかかりました。
それはどんなにおかしいことや楽しいことがあっても
ニコリとも笑えないという病気です。
名高い医者を呼んで診せても
原因がわからず、匙を投げられてしまいました。
旦那さんと奥さんは
娘を花見や芝居見物に連れ出したり、
御祈祷してもらったりと
ありとあらゆることをしてみましたが
娘はますますふさぎ込むばかり。
使用人たちも心配し
「かぎや」の家の中はいつも暗く沈んだように
なっていきました。
そんな時「かぎや」に出入りしている
商人が言いました。
「旦那様、今、彦一というとんち名人の子供が
評判になっております。
一度お嬢様に会わせてみては
いかがでしょうか」
「そうか、それなら
その彦一を是非家に招いてみよう」と
旦那さんは藁にもすがる思いで言いました。
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コイケさんの足とルッチ