彦一ばなし(鳥売り)その三
「おい、そのカラスは一羽いくらかね」
「はい、一羽十二文でございますたい」
もし雉が十二文で買えるなら安いものです。
「なに、十二文だと。少し高いが
まぁいいや。一羽こうてやろう」
「はい、はい、ありがとうございます」
彦一は十二文受け取ると
籠の蓋を開けて中からカラスを一羽取り出して
渡しました。
「あ、なんじゃ、これはカラスじゃないか」
「はい、そうです。
カラスをくれとおっしゃったので」
「そ、それはそうだが・・」
町の人は呆気に取られてカラスを眺めておりましたが
もう仕方ありません。
彦一はさっさとその場を引き上げると
また別の場所で同じようにカラスを売りました。
夕方までに町のあちらこちらをまわって
カラスを一羽残らず売りつくすことができました。
彦一は与作の家に行き
カラスを売った代金をそっくり渡してやりました。
それから、町の人たちは
与作が鳥を売りに行っても普通の値段で
買ってくれるようになりました。
***
リーコと「とび森」のなずなちゃん。
クラブで夜遊び~。