小さな手紙 〜レモンタルトの夢〜

イラスト、昔ばなし、愛犬の写真など

「都会は遠い」①

「都会は遠い」①


田舎からニューヨークに出てきたロバート・ウォームズリーは
苦労の末、富と名声を得るに至りました。


彼はすっかり都会に染まり、社交界の一員になり
いっぱしの洒落たマンハッタン紳士になったのです。


6年前、ロバートが故郷を出る時
人々は「ウォームズリーの息子は
都会に出てどうするつもりなんだ。
ここにいれば食べるに困ることもないのに」
と彼をバカにしていたのに、
今では大都市で弁護士となり、成功した彼を
自慢の種にしていました。


ロバートの成功は良家の娘、アシリアと結婚した事で
完成されたようでした。
アリシアの実家はニューヨークでも指よりの名家で、
育ちがよく美しい妻をロバートは誇らしく思いました。


ある日のこと、アリシアは田舎から届いた
ロバート宛の手紙を見つけました。


ロバートの母親からのその手紙は
あまり教養のある文面ではありませんでしが、
農場のあれこれ、ロバートの健康への気遣い、
親としての寂しさが綴られていました。


「どうして今まで手紙を見せてくれなかったの?」
アリシアはロバートに言いました。
「あなたのお母様は一度農場に帰って来ないかと
書いてらっしゃるわ。
私農場には一度も行ったことがないのよ。
一週間か二週間、行ってみましょうよ」


「君が行きたがらないだろうと思って
言わなかっただけだよ。
その気になってくれるなら嬉しいよ。」


「私からお母様に手紙を送っておくわ」


アリシアはウキウキした様子で言いました。


つづく