鼻ききまごべえ その三
「鼻ききまごべえ」 その三
ある日のこと、
まごべえの家に殿さまの家来がたずねてきました。
おりから殿さまは重い病をわずらっており
国中の医者という医者に診てもらっても
一向に治ることがなく、
そこで「鼻ききまごべえ」の評判を聞いて
やってきたと言います。
「そなたの鼻ならば殿さまの病の原因を
嗅ぎ出すことができよう」
困ったまごべえは
「今は風邪をひいており
鼻がまったくききません。
風邪が治りましたら
必ずお城に参ります。」と
その場しのぎを言いました。
家来が帰った後、まごべえは怖くなり
ひとり山の中に逃げ込みました。
まごべえが大きな木の下に座って
「いったいどうしたらよいだろう」と
考えていると
頭の上でバサバサと大きな羽音が聞こえました。
まごべえが見上げると
天狗がふたり、木の枝に並んで座っておりました。
つづく
***
悪い子のリーコ