「そらまめとわらとすみ」(3)
「そらまめとわらとすみ」(3)
すみとわらが流されていくのを見ても
そら豆にはどうすることもできません。
仲間がいなくなってしまって、
そら豆は「あーんあーん」と泣き続けました。
そしてあまりにたくさん泣いたので
そら豆のあごがはずれてしまったのです。
そこにお裁縫のお稽古の帰りの娘さんが通りがかりました。
「あら、こんなところに座り込んでどうしたの」
娘さんが見ると、そら豆のあごがはずれています。
「まぁまぁ、かわいそうに。
それではわたしが糸で縫ってあげましょう。」
そういってお裁縫の道具箱を開けてみましたが
そら豆と同じ色の糸がなく
あるのは黒い糸だけでした。
「黒い糸しかないけど、
これで縫ってあげますね」
娘さんはそら豆のはずれたあごを
黒い糸でちっくりちっくり縫い合わせてくれました。
今でもそら豆には黒いすじがついています。
それはその時の糸のあとだということです。
おわり
優しい娘さん。
いいところのお嬢さん風。
☆★☆
リーコ 思い出のアルバムから
ちっちゃかったね。
今朝の朝顔(ふたつ)