心中未遂 二
あいの実家は駒場の農家で
母親と腹違いの兄、
それに幼い弟と妹と暮らしていました。
兄は酒乱の乱暴者で
村の鼻つまみ者でした。
その日、あいが外から戻ってくると
兄が母親に暴力をふるっていました。
あいが止めようと兄に体当たりすると
兄は倒れ、石臼に頭を打ち付けてしまったのです。
兄は動かなくなり、
母親に促されて
あいは無我夢中で逃げ
気がつくと大川まで来ていた、
と言うことでした。
自首すると言うあいを
与平とおつねは必死で止めました。
兄殺しは理由はどうあれ
死罪にもあたる大罪です。
思案ののちに
与平はあいの実家を訪ねてみることにしました。