ちっちゃなかみさん 平岩弓枝
三代続く老舗料理屋の跡取り娘、お京は
持ち込まれる良縁を
ことごとく断って
両親の嘉平とおてるを心配させます。
ある日お京は両親に
「店に出入りしている豆腐売りの信吉さんと一緒になりたい」と言い出しました。
信吉に婿に入ってもらい、
店を一緒にやっていきたいというのを
両親ははじめは反対しますが
信吉の人柄の良さと
仕事に対する真面目さを知って
半ば許す気になります。
ところが当の信吉から
婿入りの話を断られてしまいます。
信吉はヤクザな亭主と行方知れずになっている姉が残して行った
二人の幼い姪と甥の面倒を
一人でみていたのでした。
姪達を連れて婿入りなど出来ないし
もししてもいつか姉達が帰って来たら
お店に迷惑をかけることになるかも
知れないと。
お京は両親の前で
「店を捨ててでも信吉さんと一緒になりたい。豆腐屋の女房になりたい。
でも信吉さんはダメだと言っている」と泣きます。
両親は娘に裏切られたような心持ちに
なるのでした。
続く